チャプレンメッセージ

2019年1月2019年01月01日掲載

古く三世紀に遡りますが、ギリシャ南部にありますパードレという町の裕福な家庭に生まれ育ち、後にトルコのミラの司教になったニコラスという人がいました。後に、「子どもの守護聖人」と言われるようにもなります。「ニコラス」という名前から想像できますように、サンタクロースの原型、モデルと言われている実在の人物です。そのニコラウスがまだ司教になる前、近くに三人娘のいる家族が住んでいましたが、同時にたいへん貧しい家族でもありました。長女は結婚したいと思いつつも、お金に事欠く状況でした。それに加え、貧しさゆえに彼女は身を売られそうになりました。そのことを知ったニコラスは、ある夜、隣の家の煙突から金貨を投げ入れます。その金貨は、暖炉のそばに干してあった靴下の中に入り、そのお金で娘は救われ、結婚することができたとのことです。ニコラスは、同じことを下の2人の娘のときも繰り返し、その家庭を救いました。娘たちの両親は、夜中じゅうずっと待っていた結果、ついにニコラスを見つけ、それが隣人の若者であったと知り、驚きつつも深く感謝したのでした。しかし、ニコラスはこのことを誰にも言わないようにと言い、立ち去ります。
子どもの頃、サンタクロースが待ち遠しいものでしたが、「でも、家には煙突がないのに?」と不思議に思う以上に、「何で欲しいものが分かるのだろう?」と謎でした。あれから数十年、さすがに今は、赤い服を着、白い髭を生やし、橇に乗って来るサンタクロースがいるとは思いませんが、しかし、誰もがサンタクロースになることは出来ると信じています。そう確信する切っ掛けの一つが、タイで作られましたコマーシャルでした。タイは世界有数の仏教国で、徳を積むこと、見返りを求めないことを大切にするという素晴らしい教えがあります。そのコマーシャルは、ある店で薬と栄養ドリンクを万引きした少年が、女性店主から問い詰められている場面から始まります。すると、病気の母にあげたいためということが判明します。やりとりを見ていた向かいの食堂の主人は、少年が盗んだ商品の代金を支払い、野菜スープを持たせて少年を母の元へ送り返します。
時は過ぎ、三十年後、その店主が突然倒れ、意識が戻らない程の大怪我をし、入院生活を余儀なくされます。更に運の悪いことには、莫大な費用がかかり、娘は店を売り払う決意をします。ところが、ある日、父の看病に疲れ、ベッドサイドに寝ていた娘の元に置かれていた請求書には費用総額が「0」となっており、「すべての費用は30年前に支払い済み。鎮痛剤3包、野菜スープ3パックとして」との添え書きがしてありました。その担当医は、あの時盗みを働いた少年でした。そして、最後に「Giving is the best Communication」という字幕が流れてコマーシャルは終わります。
直訳しますと「与えることは、最良のコミュニケーションである」ですが、私訳をしたいと思います。「与えること、与え合うことは最も素晴らしい、最も美しいコミュニケーション、即ち命の繋がり、命の支え合いである」と。手を握ってあげるだけでも、背中をさすってあげるだけでも、話を一生懸命に聴いてあげるだけでも、心が伴えば伝わるはずです。そして、誰もが本当のサンタクロースになることができるのではと。

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