チャプレンメッセージMessage from the Chaplain
2025年09月01日掲載
「弱い人を塵の中から起こし、貧しい人を芥(あくた)の中から高く上げ、高貴な人々と共に、民の中の高貴な人々と共に座らせてくださる。子のない女を家に住まわせ、子らを授かり喜ぶ母にしてくださる。ハレルヤ」
詩編113:7-9
9月5日はマザーテレサの記念日です。彼女はインドのカルカッタで「神の愛の宣教者会」を設立し、その継続的な活動に対してノーベル平和賞を受賞しました。
「捨てたものじゃない」ということをマザーテレサは世に示したのです。つまり、キリスト者はイエス様の深遠かつシンプルな教えを実践することで、まだまだ世界をあっと言わせることができるということです。初代キリスト者たちが当時の人々を魅了したのと同じように、21世紀の第4コーナーでマザーテレサは世界を魅了しました。彼女の人生は、キリスト者かどうかに関係なく、心ある人々の琴線に触れ、神聖な行いの可能性を示したのです。
何よりもマザーテレサの真、善、美の精神が世界の人々を感動させました。彼女の根底にあった真実は、人は愛されるために生まれてきたということです。その愛は無償の愛で、人は誰でもその愛を受ける価値があることを示しました。この真実は、神様から与えられたもの、私たちの中に備わっているものです。しかし近年、その価値観が薄れていることを残念に思います。
また、マザーテレサは非常に困難な状況にあっても、限りない喜びをもってたゆまず歩み、その喜びが美となって彼女からあふれています。彼女は周囲の醜さや残酷さに対して美をもって対峙し、打ち勝ちました。「神の愛の宣教者会」は当初から多くの障壁がありました。しかし、その一つ一つをマザーテレサは喜びと美により克服したのです。
最後にマザーテレサが示した善行は、この利己的な世界にあって、自己犠牲と奉仕の象徴となりました。彼女の行いは、自らに課した清貧、日々の祈りと冥想によってたゆまぬものとなりました。真善美から神様を感じるのは、それらが決して色褪せない崇高なものだからでしょう。
マザーテレサは真善美に満ちあふれた人でした。日々の厳格に決められたルーティンや儀式を通して、ぶれることなく奉仕活動に専念する力を得たのです。こうして、世俗の華やかな幻想に惑わされることなく、最も大切なものに集中できたのです。マザーテレサが私たちがこれから生きる上で道標となりますように。
香蘭女学校チャプレン
マーク・ウィリアム・シュタール