チャプレンメッセージMessage from the Chaplain

2025年12月01日掲載

私は耐えて主に望みを置いた。すると主は私に向かって身を乗り出し私の叫びを聞いてくださった。私の口に新しい歌を、我らの神への賛美を授けてくださった。多くの人はこれを畏れ、主に信頼する。
(詩編40編 2節・4節)

「サンタって本当にいるの?」
もうすぐクリスマス、今年も世界中の子ども達がこの質問を大人にぶつけてくるでしょう。

この疑問に答える確かな方法があります。

サンタはいます。しかし、私たちが知るあの作り変えられた姿ではありません。「サンタ」は聖ニコラウスが短くなり、まずサンタクロースとなり、さらに短くなった名前です。

今日、私たちがお店、クリスマスカード、クリスマス飾りで見るサンタの姿は、聖ニコラウス(270-343年)の生き様を商業化したものと言えます。12月6日が聖ニコラウスの記念日です。ニコラウスは3世紀に裕福な家庭に生まれました。両親が亡くなるとその財産を貧しい人々に配り、自分は司祭、後に主教になりました。人々対する深い慈愛と寛大さで彼は伝説的存在となります。ニコラウスは上記の詩編にある通り、新しい歌を歌い、まさに新らたな人生を歩んだのです。

彼の寛大さは遠くまで広まりました。逸話があります。ある晩、サンタ(聖ニコラウス)は金貨の入った小袋を貧しい家の窓に投げ入れました。その家には3人の娘がいましたが、そのお金で父親は娘達を売らずにすんだのです。父親は、物音で目が覚め、窓の外を見ると、赤と金のマントをまとったサンタの後ろ姿が見えました。サンタは匿名での施しを望んでいましたが、既に主教として有名であったので、そのマントで正体がわかってしまったのです。

恐らく聖ニコラウスが匿名の贈り主の元祖だったのではないかと思います。彼の死後1700年が過ぎましたが、私達には恵まれない境遇にある人、絶望の淵にある人に対する使命が託されていると感じます。

「サンタって本当にいるの?」― サンタの精神は紛れもない真実であり、子ども達に伝える価値があります。私達が当たり前に享受している安心や喜びに飢えている人がこの世にはたくさんいるという事実を伝えること、その人々に思いを寄せ、祈ることはサンタのプレゼントと同様に価値のあることです。

今年のクリスマス、喜びの新しい歌がどこかにいる誰かを力づけられますように。私達 が共に小さな希望、安心、喜びを届けられる存在になれますように。

香蘭女学校チャプレン
マーク・ウィリアム・シュタール