チャプレンメッセージMessage from the Chaplain

2020年10月01日掲載

鷲の選択


動画共有サービスを提供しているユーチューブ(YouTube)に掲載され、多くの人に感動を与えた『鷲の選択(英語版:Motivational - Rebirth of an Eagle)』という動画があります。鷲は長生きする動物として知られていますが、動画はその鷲の長寿というのは自然的なものではなく、自ら選択した熾烈な過程を通して得られるものである、ということを伝えています。一人の個人をはじめ学校など社会を構成している有機的な組織にも示唆する部分がありますので、紹介したいと思います。

鷲は寿命が約70才だそうです。ところで70才まで生きるためには、途中で変身のための難しい選択をしなければなりません。40才ころになると、かぎ爪が長くなってしまい獲物を掴むことができなくなります。鋭いクチバシは長く曲がってしまいます。また分厚い羽で覆われた古くなった両翼は胸にくっついて飛ぶことが困難になります。そういう状況の中、鷲には二つの道か残されます。大きな苦痛が伴う変化の道を選ぶか、さもないとそのまま1年ぐらい生きて死ぬ道を選ぶか、ということです。前者を選択すると、先ず鷲は山の頂上にある巣に飛んでいきます。そして曲がっているクチバシが抜け落ちるまで岩に打ち続けます。そして新しいクチバシが生えてくるまで何も食べずに待ちます。そして新しいクチバシが生えたら、今度はそれで自分のかぎ爪を引き抜くのです。新しいかぎ爪が生えてきたら、今度はそのかぎ爪で古くなった羽を引き抜きます。そのように約6ヶ月間、自己放棄の過程を踏むことを通して鷲はあの有名な再生の飛翔を遂げ、生まれ変わった存在としてさらに30年生き続けるようになります。これは、鳥の王子と言われる鷲が未来のために選択した自己改革の過程です。

動物学的に鷲の生態が本当にそうなのか、若しくは作り話なのかは分かりませんが、その鷲の自己改革の過程に自分と属している組織や共同体のことを照らしながら考えてみる価値はあると思います。今私たちは、突然やってきて世界のあり方を根本的なところから一変させた新型コロナウイルス(COVID-19)によって、新しい生き方を求めざるを得なくなっています。香蘭という共同体の一人である生徒、保護者、教師はもちろん、学校自体も明日がどうなるのか見えない状況の中、与えられている一日一日に忠実でありながら未来のことを模索しているわけです。

進化生物学の基盤を整え進化論の父と呼ばれるイギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Robert Darwin、1809-1882)は、次のような言葉を残しました。“最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは変化できる者である。”これは自然法則についての一つの理解ですが、人間の歴史や社会の営みなど生態系全体にも当てはまります。香蘭共同体もその法則のただ中にあります。それに準じますと、生き物として香蘭共同体の未来は変化できるかどうかにあります。ところが、私たちの変化というのは、組織的な構造や見かけなどを変える以前に、内面的なことから始まるのではないかと思います。つまり、香蘭共同体の一人ひとりが鷲のような自己変革を選択し、その過程を歩むことから、変化は少しずつ生まれてくるのです。自己変革の過程の中、内なる命の力が強まり、さらに私たちを守ってくださる神様によって導かれるようになります。すると外部的な変化は自然的に訪れます。それこそが私たちの未来です。


香蘭女学校チャプレン  成 成鍾