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香蘭女学校創立130周年記念企画展に向けて(18)

1888年(明治21年)に英国国教会の宣教師たちによって建てられた香蘭女学校は、2018年に創立130周年を迎えます。
これを記念して、教職員、在校生、保護者、校友生をはじめ、香蘭女学校に連なるすべての方々が「香蘭女学校を再発見」できる場として、「香蘭女学校 創立130周年記念企画展(仮称)」を開催いたします。

来年の企画展に向けて、香蘭女学校の歴史についてこのホームページのトピックス上で、時折ご紹介してゆくことになりました。今回はその第14回です。

《香蘭女学校の歴史 14 時間数を半減させざるを得なくなった英語の授業》

白金三光町の新校舎で1912年から授業が始められました。
麻布永坂時代の授業は、1902年と1903年に変更された校内制度に従って行われていました。その制度とは、まず1902年の制度では、全学科を「英語科」と「邦語科」に分けて、月曜・水曜・金曜の3日は「英語科」の日として聖書・英語・音楽・体操の授業に充て、火曜・木曜・土曜の3日は「邦語科」の日として国語・漢文・歴史・地理・理科・家政などの諸学科を教えるというものでした。「英語科」の日の授業はすべて英語で行いました。1903年には学科課程が改訂され、それまで予科2年のあと本科4年だったものを、予科2年・本科6年に改め、その中で英語の授業時間数を大幅に増やすことになりました。本科3年生になるとそれまで「邦語科」に入れられていた理科の一部が英語で、4年生になると全て英語で教授され、さらに4年生では同じく「邦語科」の地理の一部が英語で、5年生になると全て英語で教授されるようになりました。また他の重要学科の授業時間数も高等女学校に劣らず多く、英語以外でも数学の授業は特に重視されました。
ただ1910年の校舎焼失直前に学則が変更され、修業年限1年の高等科が本科の上に置かれ、同時に本科の修業年限を5年に変更し、予科が廃止されました。高等科の第1回卒業式は、麻布永坂の仮校舎で1911年に挙行されています。
白金三光町時代初期の教育の大きな転換期は、1917年に訪れます。これに先立つ1899年8月3日に発令された私立学校令と抱き合わせで出された「訓令第12号」がその転換への引き金となります。1894年に日本と欧米の間で調印された通商航海条約の発布期限が1899年8月4日に迫る中、この条約の中に定められた外国人居留地廃止に伴い外国人内地雑居が始まることに反発した仏教界に対処するために明治政府が打ち出した国家主義教育を実現するために、さまざまな会議を経て発令されたものが宗教教育禁止を全面に掲げた「訓令第12号」です。その中に「一般の教育を宗教外に特立せしむる件」という内容が記されています。多くのミッション・スクールは、この訓令への対応に苦慮し、建学の精神と学校の存続を天秤にかけた危機的な状況を迎えます。香蘭女学校はこの時には、迷うことなくミッション・スクールとしての本義を貫き、文部省認可の私立学校としての認可を返上することにしました。このことは、高等学校への受験資格を持たない各種学校になるという道でした。
1903年には専門学校令が公布されて、日本女子大学校(現在の日本女子大学)や女子英学塾(現在の津田塾大学)などが専門学校となり、その卒業生の中にはさらに上級学校へ進学する者も出ました。しかし、香蘭女学校は各種学校のままであったため、卒業生がこの専門学校を受験するためには検定試験に合格するか、あるいは文部省から高等女学校卒業と同等以上の学力を有する者という指定を受ける必要がありました。
そこで香蘭女学校は1915年11月2日、井上友一東京府知事宛てに「専門学校入学者無試験検定願」を提出することにしました。そのために、これまでと異なり高等女学校の教育課程に準じるカリキュラムに変更する必要が生じて、これまで他の学校よりも多く置いていた英語の授業時間を大幅に削減したものに改訂せざるを得なくなりました。ちなみに、それまでのカリキュラムで週12時間ずつ英語が置かれていましたが、この改訂後は半分の週6時間ずつになってしまいました。
しかし、1917年6月に文部省より「専門学校入学者検定規程」第8条第1号による指定を受けることができ、これにより香蘭女学校卒業生の上級学校への進学の道が開けることになりました。
香蘭女学校の授業の中心であった英語の時間数が減ったカリキュラムであっても、限られた時間数の中でミス ルーシー・キャサリン・タナー(1912年現在39歳)やミス テオドラ・キャロライン・ウィリアムズ(後のシスター・テオドラ、1913年来日時25歳)など英国から来た女性宣教師の先生方が中心となって充実した英語教育が行われました。例えば、当時生徒が学んだ英語の歌と英詩の下記のようなリストが残っています。(英語のスペリングは原資料のママ)
SONGS LIST
1. Away in a Manger,
2. Baby’s bauts a silver moon,
3. Bye baby bauntlig,
4. Diddle diddle dumpling,
5. Gone is the winter gone is the snow,
6. Good king Wenceslas,
7. Holy night,
8. How sweet is the shepherd’s
POEMS LIST
1. The monthes.
2. Baby seed Song,
3. The Litle lark.
4. The Pied Piper of Hamelin.
5. The Dreadful story abut Harriet
6. The spider and butturfly
7. The land of Counterpane.
8. The Battle of the Baltic
9. Little boy blue
このうち最初の歌「Away in a Manger」は、現在もクリスマス礼拝の中で中等科1年生全員が原語で歌っているクリスマス・キャロルです。

(写真は左上より、ミス タナー、ミス ウィリアムズ、英語劇「ベニスの商人」の出演者たち)

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